”ただの風邪”について

新型コロナが“ただの風邪”、あるいは“ただの風邪より危険”ということが話題になっているようです。さて、ここでいう“ただの風邪”についておさらいさせていただきます。

風邪症候群は鼻から喉頭までの上気道の急性炎症をさします。この炎症が下気道に波及していくとその場所により気管支炎、肺炎となります。

原因の8~9割はウイルス(ライノ、コロナ、インフルエンザ、パラインフルエンザ、RS、アデノなどをはじめ200種)といわれています。気道障害性はインフルエンザやライノのように強いものから、弱いものまで様々です。

この風邪が肺炎を来したり、1週間以上長引いて細菌性感染を合併したりすると注意が必要です。風邪の後に発症することが少なくない感染性肺炎だけでも9万5千人が死亡しています。高齢者や基礎疾患のある人が主になりますが、若年者でもなります。細菌に対して用いる抗生剤は本人の抵抗力の上に成り立つ補助です。

インフルエンザのように簡易キットで診断できるウイルスは例外的で、他のウイルスではコストを度外視すれば抗体のできる期間をかけて抗体検査はできますが真陽性率も低く実際的ではありません。

ウイルスという捉え難く素早く変化していく忍者のようなものに対して私たちの医療は未だに根本的に対応することができません。